2005年07月24日

星屋心一の『東京青松の道/客席から』
 植林一本目、星屋心一のアンケート

▼7月8日・19時30分の回の感想

 理想の女との出会いが幻想であること。2本の作品ともこの方向で話が進む。映画の「理想の女」ものが「幻想みたいな現実」をテーマにすることと逆である。『延長』の中のシナリオが「そういうプレイ」に酷似してしまう瞬間や、「かわいいから好き」という男の気持ちが前面に出ることで、「男の欲望」がよく描かれている。

 欲望が幻想であるとはつまり何もなくなることだ。『延長』のハルカも『絵美香』のエミカも消える(これ以外に事件が無いことがややストーリーを淡白にしている短所はあると思う)。そこで残るものは、幻想であったとしても求める男の真情となるだろう。コージとショウの二種類の真情が送り届ける劇構成は美しい。欲望が幻想でも残るもの。

 ところで篠田青の演出するラブシーンは非常に趣き深い。男女が近づく瞬間がよく描かれている。この時、欲望という幻想も、愛も湧き起こる。だが目の前に相手がいるという強さは動かない。おそらくこの二作で描かれた愛とはそういうものだろう。

 これは上品な恋愛ドラマだ。


▼7月10日・18時の回の感想

『延長』・『絵美香』の男は弱い。二人の主人公は、理想の女性が「普通」や「にせ」であることを女自身に言われるまで見つめようとしない。また「ふられて腹が立つこと」も認めてしまう。「自分にとって間違ったこと」に腹を立てることは弱いし、それを「正しいこと」のように言ってしまうのだ。

 だがこの弱さがみる夢がいじらしい。「脚本」も「夢」も、ほんの一瞬だけ舞台で語られる。弱さや強さとかそういう問題でなく、望んだものがその世界にある。これが一瞬しか語られないことが、制作者が「男の弱さ」を知っている証だし、現実の中で力なく揺れるその望みの貴重さを私は感じる。それが「思い」という内面に収まる前に、その望みは確かに舞台に姿をあらわした。

(以後略)【次を読む】
posted by 東京青松 at 00:00| 作品解説・植林一本目篇